僕は岐阜市の繁華街・柳ケ瀬から歩いてすぐの場所に生まれ育ちました。高校まで地元ですごし、大学学は早稲田大学へ。東京での大学生活は、友人と雑誌やイベントを作ったり、ビジネスの真似事をしたりと充実した日々でした。
 その頃出会い、今も兄貴分と慕う鈴木寛さん(慶応大助教授・当時)に教えていただいた、この言葉はいまのボクにとって最も大事な価値観の一つです。

「うだうだ言って何もしない人たちよりも、うだうだ言われてでも何かしている人のほうがずっとずっと偉い」

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2003年頃、近鉄百貨店の空き地を背景に。

 13,4年前でしょうか。ハタチの夏休みに帰省し柳ケ瀬を歩くと、近鉄百貨店が無くなり、更地から青空が見えました。これが、僕がG-netを始めたきっかけ。まさにその辺りは小学生に頃、鬼ごっこを友人たちとした場所。近鉄百貨店の売り場も、鬼ごっこで走り回った記憶もあります。(すいません。)

 空き地になっていたことにショックを受けて知り合いの商店主や地域の方々にきいてみると、口々に「駐車場がない」「アーケードが古い」「駅前がだめだ」「役所が悪い」「景気がひどい」と人のせいにする声ばかり。
「なぜ自分の街のことなのに、人のせいにし、文句ばかり言うのだろう」と、当時感じた憤りが、今に至る原点です。同郷で、当時東大院生だった友人・平野彰秀さん(現・NPO法人地域再生機構副理事長)と、新宿で食事をしながら気がついたのです。

周りのせいにして何もしない人たちもカッコ悪いけれど、
文句を言っている人の、文句しか言ってない自分もかっこ悪い


そこで「まず動いてみよう」と、学生サークルとして始めたのがG-netでした。とはいっても、東京での就職を考えていたし、岐阜で何かを取り組むことにためらっていた時に後押しをしてくれたのも、鈴木寛さんでした。01年8月に八ヶ岳でキャンプをご一緒する夜中に相談をしたところ「まずは、気になったりやりたいと思うなら始めてみればいい。うまく行かなければ辞めてもいいのだし、始めることが大事だ。続けられるかわからなければ、まずは期間を区切って始めても良いのでは」といったアドバイスをいただいたのが、きっかけ。
実はジーネットは、半年間限定の学生サークルとして当初スタートしたのでした。

ただ、最初から問題意識はいまのG-netとほぼ同じです。文句を言ってなにもしないのではなく、行動する人を増やすことこそが大事だという思いでした。なので、始めた時から今日まで、取り組む事業そのものには変遷はあれど、一貫して「手を挙げて行動を起こす人材の育成」と、それを通じた「地域活性化」にしぼってきました。他人事でなく自分事として身の回りや社会のことを捉え、主体的に生きる人々が増えたらどんなに素敵なんだろうか。この思いで、ずっと取り組んできました。

イベントや、雑誌から

 13年前にG-netを始めた時、とても影響を受けた人物の一人は札幌・YOSAKOI ソーラン祭り創始者の長谷川岳さん(今は参議院議員としてご活躍です)。あの200万人を超える6月のお祭りは、愛知出身で当時19歳の大学が4人の友人と始めたものだ知り、大いに刺激を受けたんです。

 そこで取り組んだのが、柳ケ瀬で行う大晦日のカウントダウンイベントや金公園を主会場にした夏のビーンズフェスタという野外ライブでした。夢に向かいチャレンジする「夢のマメ」が発表し、みんなで拍手を贈るそんな祭典にしたい。そこで、岐阜でがんばるパフォーマーが出演する機会に、とこだわりました。また、大きなイベントを地域の方々と連携し実施することを通じて、スタッフの成長の機会になるはずだと考えました。
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 2002年夏に第1回を行い、回を重ねるごとに多くの方々に支えていただき、04年ごろより佐藤徳昭さん(やなな鬼マネ、現・ひとひとの会代表)に企画運営を共に担っていただきました。そして、2007年には信長祭りと連動し10万人を超える規模へと成長させて頂きました。

 また、岐阜でチャレンジする若者の存在や、この地域の魅力を伝えたいと考え、蒲勇介くん(現・長良川おんぱく事務局長)の参画を得て、フリーペーパー「ORGAN」も2003年より年4回発行をしました。(現在、岐阜大・学生サークルとして発行されている「GIFT」の原型です)
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 岐阜県内の大学生数が約2万人と知り、毎号2万部発行し、若者の集まるカフェや学校など200カ所以上に設置・配布しました。こうして、設立から6年間はお祭りやフリーペーパー、商店街活性イベントなどを中心に取り組んだわけです。

 G-netの初期は、いわばイベントやフリーペーパーを通じた商店街活性に取り組む学生サークルだったわけです。事務所も、柳ヶ瀬商店街の中、映画館「シアターペルル」のあったビルの2階にお借りしていました(その後、3階に引っ越しますけれど)

つづく