全国各地のビズモデルのセンター長や相談員に応募をしようとお考えになっている方々に、これまで各地の公募情報に触れた中で、f-Bizモデルの自治体導入第1号であるOKa-Biz・センター長としてアキモトの視点から気づいた点をまとめてみます、今回。

これまで、全国20地域以上に導入されているのが、富士市産業支援センター・f-Biz型の中小企業相談所、ビズモデル。このビズモデルはf-Bizをモデルにして、高いコンサルティング力で、地域の小さな会社やお店の売上アップをサポートするというもの。

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すでにこれまで、公金などによって設置運営されている公的産業支援施設は各地にあり、その数は2000ヶ所を超えます。しかし、これまでの公的産業支援施設が補助金の利活用支援や会計指導、制度融資の利用支援などが中心だったなか、ビズモデルの特徴は「お金をかけずに売上アップ」を実現することにフォーカスしていることなんです。

そして、各地で生まれているビズモデル型の取り組みが成果を上げているポイントは、全国公募を通じて優秀なビジネスパーソンを集め、その中で「できる人」を採用し、その後の研修・フォローを通じてブラッシュアップを行っているということ。
平均100−150名前後の応募者があり(地域によっては1名の椅子に全国から400名弱の応募が集まったことも)、そこから数名を書類選考で厳選。さらに、2次選考では面接選考が行われるわけです。
そこで、OKa-Bizセンター長として各地の公募を見る中で、応募の際に大事なポイントをまとめてみました。応募を考えている方は参考にしてみてください。


▼f-Bizを調べ、理解すること。求められるのはf-Bizモデルを再現できる人
意外なことに、f-Bizについて調べることもなく応募してくる人たちがいるんです。「資格を生かして、財務診断や税務サポートなどを貴センターでは行います!」…なんて書かれているのをみると、トホホな感じなのです…。
公募の資料を見れてばわかることなのですが、f-Bizのように中小事業者の「お金をかけずに売上アップ」を実現できる相談所を各自治体は目指しています。公募要項に「富士市産業支援センターをモデルに」ってちゃんと記載してあるんでから、ちゃんとf-Bizについてリサーチしましょう。
もちろん財務や税務に詳しいことはウリになりえますが、しかしなにより「売上アップを実現する知恵の出し手」が求められているのです。
小出宗昭センター長の著作も複数冊世に出ていますし、検索をすれば取材記事などや支援事例なども出てきますよ。また、OKa-Bizも含め、各地に続々生まれているビズの取り組みについても、リサーチしてはどうでしょう。
…大学受験でも、新卒の就職活動でも志望校や志望企業について「学校研究」や「企業研究」を行うと同じですよね。

▼選考の観点1,「ビジネスセンス」
どんな基準で、選考が行われるのか…が、みなさんめちゃ気になるところだと思います。そりゃ出すからには通りたいでしょうから。でも、その基準だって公募要項を見れば、ちゃんと書いてありますよ。ずばり、主に3点上げるならば「ビジネスセンス」「コミュニケーション能力」「情熱」ということ。
f-Biz的な「お金をかけずに流れを変え、そして売上アップを実現する」知恵をだせるか。そういう考え方ができるか、知恵の出し方ができるかってことに注目しているのです。
では、ビジネスセンスはどこから、判断するのか。もちろん、これまでの職歴などの履歴や、応募動機、センターの運営方針といったところからも読み解くことができるでしょう。そして、なによりも具体的な相談ケースへの回答から、伝わってくるものではないかと思います。
各自治体の応募資料には、生々しい中小事業者の相談がケースとして示されています。もし、あなたが実際にこの相談者を前にしたら、どんなアドバイスをするだろうか。相談者が、目を輝かせてやってみようと思えるような知恵だしが求められています。
一方で、実際の個別相談は事業者と、その先にいる従業員や家族の人生をも左右しかねないこと。単なる奇をてらったアイディア出しや、思いつきは決して求められていません。

▼選考の観点2,「情熱」
そして「なぜこの仕事をしたいのか?」とう情熱。ビズモデルの相談員は、単に一コンサルタントではなく、その街の活性化を期待される町おこしの中心人物、でもあります。年俸1,200万円(自治体やポジションによっては異なる場合があります)は、地域の自治体にとっては、とても大きなチャレンジ。
公募する少なくない自治体では、市長より月給が高いケースもあります。大きな期待は、ときにプレッシャーと感じることもあるかもしれません。見ず知らずの町に飛び込み成果を請け負うということは、いわばプロ野球における助っ人外国人のような存在といってもよいでしょう。(もちろん、地元出身のケースもあるでしょうが)
一方高額報酬とはいえ、単年度契約で、期待された成果を挙げられなければ減俸や、そもそも契約更新されないことも実際にあります。それだけに、なぜこの仕事に取り組みたいのか。その強い情熱や思いを応募資料から伝えていただきたいと思います。
単に報酬にのみ惹かれて応募しているのか。拝読して、なるほどと感じられるような思いを抱いてのエントリーか。そして、なぜこのタイミングで、このまちに、そしてこの仕事なのか。応募に先立って、ご家族にもお話をしながら理解を得つつ、一方で自身の思いを再確認してみても良いかも知れません。

▼選考の観点3,「コミュニケーション能力」
書類だけではもちろん伝えきれない、けれどとても大事なもう一つの観点がコミュニケーション能力。実際の相談業務は、見ず知らずの相談者の方から、短時間の間にお話を伺いぐっと本人の気づいていないセールスポイントを捉えていかなければいけません。
ここでいうコミュニケーションとは、プレゼンテーションや伝える力、ということ以上に、聞き、信頼を得て、そして引き出す力と言っても過言ではないと思います。(いや、それでなお、もちろん伝える力も求められますけれどね)書類選考では、過去の職歴や取り組みなどからしか類推できませんから、主には二次選考の面接の際により、審査員は感じることになります。
1対1で、じっくりとお話をお聞きし、アドバイスを行っていくというコミュニケーションが何より現場では求められます。しかし、それだけでなく、実際に着任すればセミナーや勉強会などで、ビズの取り組みや考えを講演などの形で伝えていくことも期待されるでしょう。ときには、地域おこしのリーダ−として、様々な人々とつながり、関係をつくっていくことも期待されされるのです。

▼まず、公募要項を読むこと。そして諦めずチャレンジすること
当たり前のことのようで、意外となされていないのが公募要項の読み込み。目指すものや、選考基準などがしっかり書いてあるからこそまずは、読み込み、そして必要なリサーチや準備をしてはいかがでしょうか。
さらに、各地の選考には冒頭にも記載したとおり100名ー150名の応募者(ときにはそれ以上も!)からのエントリーが寄せられます。書類選考でも、そして二次・面接選考でも。1名の採用枠にたいして「この人がいい」「でもあの人も捨てがたい」…と審査会で紛糾することも少なくなりません。
一度の応募結果で諦めることなく、何度もチャレンジする人々もたくさんいます。また、複数回チャレンジする中で、ビズモデルへの理解が深まったり、ビジネスセンスを磨くため日々の過ごし方が変わる中で、力が積み重なっていくこともあるかも知れません。



ビズモデルへの応募を検討する人へ、いくらかでも参考になれば幸いです。

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秋元 祥治

▼岡崎ビジネスサポートセンター・OKa-Biz センター長
  岡崎市康生通西4-71 りぶら2F http://www.oka-biz.net
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▼NPO法人G-net 理事(創業者)
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▼内閣府 地域活性化伝道師/岐阜大非常勤講師
  早稲田大社会連携研究所招聘研究員
  慶應義塾大学SFC研究所所員
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